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日本製リゾートへの挑戦 [講演会]

先週末、北九大ビジネススクールの特別講演会に参加しました。
株式会社星野リゾートの代表取締役社長 星野佳路氏によるご講演でタイトルは
『日本製リゾートへの挑戦~地域資源の活用と事業環境を見極める視点~』でした。
以下、簡単に内容を纏めておきます。

★観光地は同じ状態を保つのは困難である。
 ~お客様の数が増え、ニーズも多様化する。キャリングキャパを超えると、色々
  な問題が起こり、お客様の満足度も低下し、大事なものを失ってしまう。
  ⇒軽井沢の大衆化、原宿化。
  一方、スイスのツェルマットやガラパゴスのように自分たちがお迎えできるお客
  様の数に制限をかけ、環境を保っている観光地もある。
  日本でも、竹富島や京都のように条例を設けて、大事な資源を保全しようという
  試みも出てきた。

★担保力志向から戦略志向へ
 ~リゾート事業には、開発、所有、運営という機能があるが、日本ではこれら3機能
  全てを担う事業者が多いのが特徴である。しかし、世界ではそれぞれの専門家に
  任せるケースが主流であり、投資家は勝てる戦略(顧客志向の戦略)に投資する。
  ⇒星野リゾートは運営に特化し、この道のプロとなることを選択した。
   Vision『リゾート運営の達人になる』
   達人の3条件として、顧客満足度2.5、経常利益率20%、エコロジカルポイント24.3を
   同時達成することが目標である。

★温泉旅館の現状
 ~年間100件近い旅館が廃業もしくは倒産している。しかしホテルの数は(大都市
  圏)で伸びている。
  円の変動相場制の影響や直行便等のアクセス改善により、海外旅行者が増えて
  いる。(17百万人/年)これに対し、旅館のサービスは昔から変わらず、値段も相対
  的に高くなった。
  日本から海外へ旅行する人が17百万人いるのに対し、海外からの旅行者数は8
  百万人とGAPがある。日本の観光産業の競争力は世界で32位。(チュニジアと
  同レベル)世界5大観光大国と呼ばれる、フランス、スペイン、アメリカ、中国、イタ
  リアと比べて、何が劣るのか。国の知名度、交通アクセス(12時間以内)、治安が
  ポイント。日本は他の国に比べてそん色ない。料理も美味しい。温泉旅館は日本
  のテーマパーク。おもてなしの心もある。年間30百万人は達成できる。

★旅館経営における魅力と生産性
 ~旅館拒否層&ホテル指向層が増えている。(特に年配の人に)
  ⇒ホテルと旅館でサービス、食事、部屋、風呂、その他について比較調査した。
   サービス、食事、部屋で旅館の方が劣っていた。食事の時間は聞かれるが、
   7:30か8:00しか選べない。旅館に行くといつもより早起きしなければならない!
   海外旅行経験者が増え、本物のリゾートを知っている人が増えてきている。
   自動車等第二次産業の労働生産性(93)に比べると第三次産業の生産性(61)
   は低い。これは経営、仕組に問題がある。星野リゾートでは生産性向上の仕組
   として、運営効率を上げるサービスチーム、調理プロセス管理チーム、広報流通
   システム、予約コールセンターや集客力を上げるリピート促進システムやブランド
   化がある。既存の働き方に拘らず、日本の製造業等をベンチマークした。

★旅館の再生
 ~再生のポイントは「誰に対して何を提供するか」コンセプトを明確にすること。
  コスト削減やリストラはそれまでもやってきた。
  コンセプト委員会を立ち上げ自分達が得意なこと、強み等の魅力探しを行う。
  例)夏祭り、山の幸、海の幸、方言、自然、工芸品、郷土料理、温泉
  ⇒実はこれ、日本全国どこも同じ=日本の特徴
  これらの中で何が差別化ポイントになるか注視する。
  また、スタッフのコンセプトへの理解、共感が必要。なぜなら、サービスには同時性が
  あり、問題があった都度経営者がストップをかけてやり直すわけにはいかないため。

  ◎具体的事例として、青森の古牧温泉 青森屋の紹介あり。
   http://www.komaki-onsen.co.jp/
   ・青森は「ねぶた祭り」の時にだけ需要過多となる。→年中体験!
    のれそれ青森、青森文化体感の宿、じゃわめく広場、みちのく祭りや、雪見こたつ馬車!
    (名称変更)
    古牧グランドホテル(旧コンセプトは東京のホテルみたいに・・・。)
            ↓
    古牧温泉 青森屋 
    (わたしたちは青森のホテルになるんだ!)
   旅館にとって、サービス(ソフト)と施設(ハード)は車の両輪。ハード先行型が多いが、
   サービスを先行させて、売上を反転させ利益を出してから施設に投資する。

★スキー場の再生
  ◎具体的事例としてアルツ磐梯スキー場の紹介あり。http://www.alts.co.jp/index.html
   お客様は皆、上手くなりたいと思っている。(上達することが本当は一番楽しい)
   なのに、従来スキー場経営者はお客様を下から上にリフトで運ぶことばかり考えていた。
   お客様は、上から下にどうやって上手く滑っておりるかを考えている。
   アルツ磐梯は上達ニーズにコミットしているスキー場(Player Support)
   従来のスキー場経営者は、スクールを外注していた。
   →アルツ・スノーアカデミーを立ち上げ(自社化)上達保証付きレッスンをはじめた。
    ※決められた目標レベルに達しない場合は料金を全額お返しします。
   この考えは、レストランで出すカレーにも適用している。(美味しさ保証付きカレー)
   製造業は販売したものは1年間保証している → サービス業もかくあるべき。
   自分達が何にコミットしているか理解すると、もしそれに反することが起こると自分達
   が損をすることが分かり、それぞれが正しい経営判断ができるようになる。

といった内容で、あっという間の1時間でした。

元体育会スキー部の自分には、スキー場の再生事例は大変興味深かったです。
VEの基本原則である、使用者優先、機能本位の原則で見事に価値向上させた事例と
思います。

今週末は、今シーズン初スキーに行ってきます![スキー]
   

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コメント 3

PolePole

こんばんは!

とっても密度の濃い、講演だったようですね^^

なかでも「誰に対して、何を提供するか?」というコンセプトを
明確にするというのは、テレビや雑誌などで見る
星野リゾートを見ると、うなずけますよね。

いつか(無事、診断士になれた時にでも…)行ってみたい
と思っているPolePoleです(笑)

週末スキー、楽しんできて下さい!
(私も学生時代、よく行きました^^)


by PolePole (2009-02-03 00:49) 

PolePole

こんばんは。

スキーの方はいかがでしたか?
前回、コメントした時に
「これから行かれるもの…」と思って
思いっきり”時差ボケ”なコメントを残してしまいました。。。

by PolePole (2009-02-03 19:12) 

キッチェ

おはようございます。
PolePoleさん、コメントありがとうございます。
そうなんです、もうスキー行ってきちゃったのですよ。
タイムリーにスキーネタでブログ更新できていれば
よかったのですが、すみません。子どもにスキー教
えるのはなかなか難しいですね。ちょっと勉強中です。
(もちろん診断士の勉強も!)
山で思いっきり滑って、試験では滑らないようがんばる
所存です。
by キッチェ (2009-02-06 06:13) 

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